<795>「低音の溝に鳴る」

 空気が文字の上を滑る。私はここに一生の染みを見留めた。困惑が、一秒前の目になる。穴のアくほど欲望を、そのまま見つめる。とサラサラ流れ、ひたすら回る執念になる。執念は動く私を見ていた。

  同じ位置にいさせる

  言葉は発したそばから同じ位置を指さす

  私が他にいないとは何なのか

 管があたたかい。タイミングをずらすとは何か。お腹に恐怖の叫びが響き渡る。

  出てきていいのかしら

  私は生まれるのかしら

  空間を拡げるのかしら・・・

 放り出され、答えは小さなツブのひとつひとつしか知らない。しかし、目には困惑を用意する。身体は誰なのか。ツブは身体なのか。管の思いを断ち切ったとして、裏切りは、温度の言葉を変えるのか。

  おそらく見る

  見てどう思うのでもない

 身体を、ほどけたものとして考える。そこから逆に、のばしてきて考えてみる。こんなことは知らない、と、嘘の音であちこち、跳ね返ってはきて、きっとそのなかで、笑い声は地道にあつくなっていっている。

  触れてはいけない

  私には考えがない

  私には行動がない

  私には思うことが僅かしかない・・・

 ここからは、いつもと、同じ、低温の溝が見える・・・。