<799>「陸は余韻だ」

 ひょっとすると、これは、捨てられた意識で、私を置き去りにしながら、一言、二言喋る。涙が流れる。一緒になって道は避けている。

 例えば、クマなら、鮭の腹に喰らわりついて、石の上へ鮮紅の粒をぶち撒ける。涙が流れる。私が生まれ変わっても川の水をすする。陸は全て余韻であった。

 余韻の上を歩き、誘われるままにしておく。大人しくしゃがんでいるにしろ、フラフラと前に倒れかかるにしろ、怖いものは怖いままだ。

 偶然の流れは、一語一語に分解できない。理解を足らなくし、なるたけ、大袈裟にくっついたもの、としてあろうと思う。

 目に見えぬほど後ろに立ち、時々は笑み、時々は無感動で、渦のかたまりを拾っていく。眠る必要がある行動へと徐々に揺れていく・・・。