<854>「規則と無縁人」

 あなたは二時。それも、謎のトオンで跨ぐ。

 謎の音(おと)、それも二時の、二人掛かりの派手芝居のなかで。

 きらめきと三歩。それぞれの、歩ゥ行ごと、立ち上がる。

 夕(ゆう)慣れば文字、盤のギクシャク、と境目のない記憶のひと乗り。

 過分にして発(はつ)、過分にして発(はつ)。唱え得(ウ)べしひとことの一(位置)、ひとことの二、規則のなかの無縁人(じん)。

 ひと(びとひと・・・)。ひと(びとひと・・・)。行方は追う、行方は追ういずれ、かけがえのなさとともに飛んでウ跳ねウ。

 ぼ・・・やかし。てのひらの雨。雨は導入で、ふたつの記憶を探す。それぞれの初め、それぞれの終わり。

 ただ、(タ)、た、立った。カタタ、カタッ。パタつき、型、分け入る、ほとんど痙攣の、笑い。およそウべし、ひといきれのなかに文字。

 揺らぐ、揺らぐ。蚊帳は外なり、外(ソト)、隣(トナリ)。無縁人(じん)の狂い踊り、ノ、その、見事なまでの日常さ、日常意識の静か。何層も下り、何層も潜り、茹でに似て、既に、暴発。ただただ綺麗な暴発を、それこそ裸眼で見る事。

 ことと継ぎ、緩やかな指の作用、も含む肉体装飾美。ビビッ。微々たるはなお穏やかな夏のひと掬いのごとく。優美先のセンチメンタル、カケ、ココ、トンッ、と鳴る時期。

 振らい、振るい、マ、天井もどきの小さな声に、心有りや無しか集中ごとの振舞い。あいや、あいや。衣(ころも)のそばで緩やかに湾(わん)、緩やかなる港(みなと)。人が指をくわえているところ・・・。