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 なにがひとのなかをさぐる。たれかひとのなかを転がる。

 振るわれては落ち、振るわれては落ち、するうちに、ゆるやかに誘うは、道、ひとりゆき、静かに雨の染みる・・・、、ひとは絶え、草木(くさき)は香(カ)、香(カ)と立ち昇りわたしの棲む場所・・・ひとは指で知らせる互いを見る、互いは目のなかへ過去の記憶ごとひかれてゆく・・・。

 ひとはけはい。あなたわたし。あたらもの、あたら過ぎ、かわいいはただこぼれ、ひとは目、ひとはうなずき、ひとは染みる・・・。ただけはいのなかにわたしの垂れてゆく・・・。

 ものは過ぎ、ひとは悲鳴。このがやがやとした心根。姿は静かに時を移し、わたしはそのさきで枯れている。ただゆっくりと漂う。気分のなかをさまざまにゆく、割れてなかの見ゆる、は、ゆるやかに棲む、は、がらんどう。

 押して、戻し、はまた押して、ひとは小さなうつろのなかになぐさみを読む。ひとは文字で書かれている。駆け出した日の朝が日常から浮いている。

 遠くへ声の読んでいる音(おと)が続く。わたしはひらいている。わたしは全てに対して声を付している。膨らんだ記憶のなかに書かれた一本の線。線は、このご渦を巻くとも知らずただただぼんやりと浮かんでいる。

 風はひとのなかに巻かれた。ひとはただ窓のそばに立っている。わたしはただ灰色に溶けて心が軽やかになるのを見、知り、遠のくけむりの子どもをも読む。

 わざと駆け出してみる。ひとは記憶の先に出て、目をむき驚いている。路面を、小さな声の滑る。ひとは回る。感慨深さの先に出て静かに回っている・・・。