空っ風のあたる・・・。わたしはさむしい、鳥の声の踊る、めまえにまた風が吹きつける。
ひとはそこの角(かど)に触れる。もたれかかり、意図は分からないまま・・・。
過ぎる、過ぎる、過ぎる。切り貼りされた混乱についてゆき、色(イロ)は惑う。
わたしの背に触れて、順に駆けていく。誰のために軽くなっていたのか。わたしはわたしの歩みを知らない。
短い音(おと)。さらに連なり、意識へ運ぶこと、リズムへ運ぶこと、いちいちのまじわり、素直に姿勢ののびてゆく、新たにまた顔を身につける。
そはひそかなもののこと。そはにぎやかな関係性のなかの静けさ。そはふたつの振舞い。
遠のく声へひとの浮き、ひとの沈むをあらわし、等しい眼で全体をねめつける鳥の、おおらかな羽のなかに棲み、しじゅう頭のなかに響くことを得(ウ)、は・・・。
ひとのかたちはかるいということ
かるさは決して負の要素ではないこと
など。
ものが持ち、ものはおののき、ひとは肌という肌を振るっている。わたしが鳴るなら、それがそのまま染みてゆくよう。わたしが鳴るなら、鳴るなりにそのままでそこへ棲むよう・・・。
ひとは軽々とはねて落ちる。わたしはそのあっけなさをそのまま吸っている。あとを任せて走り去った姿を見る・・・。