<939>「言い分のない朝」

 目の端(はた)に光る、ひとは読む。

 思うさま揺れる、ひとは過ぐ。

 湧くものと、その先に控えるもの・・・。

 ひとは溢れる。横溢の名のもとにわたしは乱る。

 身垂(みだ)る、身垂(みだ)る、身垂(みだ)る・・・。

 ひとは弥陀。それぞれの手のなかに一切の呼吸を映す。

 ゆくりなし、ゆくりなし、ゆくりなし。

 ものはものと言いひとはひとと言うこと。

 その身(ミ)はかけら。ひとが日常のなかに光る。

 日々は差し、日々は差し、緑の背後に言葉を隠す。

 おもいながらえたひとすじに、わたしは沿う。

 わたしは隅に映えた言葉を、いつかどこかで憶えた姿勢、その姿勢でもって検める。

 ものがなし、ものがなし。

 朝には朝の言い分が・・・。言い分がないのが朝だ。

 勢いは照れている。わたしのなかでわずかのマ、照れている・・・。

 不可思議はわたしを振り返り見、不可思議はわたしを放り出す。

 ただほふる。

 ひとの名が静かにふる。ものは沿う。静かにその場へ沿う。

 見てはよし、見ておやり、見てはよし。

 ぬるみ、ひとは染める、ただそばに一抹の空気の寄り、わたしを挟む。

 このマから割れ出でて声の鳴る、ひそむ、鳴らす・・・。