<941>「あなたがたの、風の時刻」

 こは通り。あなたは風。あなたに振るわれて良かったと思う。

 うるみ、まとわりつき、ひきりなしに吹く、吹く。

 ふぃ、ふぃ、ふぃ。

 大声、冗談と、からかぜ。あいだを澄み、混沌と、振舞い。

 窓の隅をとろけて、いでた。ものはハッとして消え、ものはハッとして過ぎ、ひとところを染める。

 時折移り気な手合いがあなたの眼の前で踊り。

 時折あなたは僅かなのびちぢみだけで過ぎる。

 むしゃくしゃにひとりで触れた。

 誰かがそばで撫でていた(慰めていたのだろうか・・・)。

 求むるとこころのない小さな破裂が・・・。粉を飛ばしあたしの背に細かく線を走らせるとどろきが。

 互いがふるえ、互いは感心した。

 あァ、ひとつは爆発だ・・・。

 ならばそれ以外は?

 あの声。空間の我先にと道をひらく。わたしはただの肌の袋ゥ、揺れる袋ゥ・・・。

 もの珍しく、ただひとりで、静かに座っているひとゥ。

 ただ指で渦を作るひと。

 ただのかけらに呼気の渦巻くを知るひと。

 あなたたちは風だ。いつもまどろみの。

 あなたたちはまどろみだ。いつも全ての。

 東(トウ)の空を静まり返って過ぎる。ひとはいつまでもいないから。

 東(トウ)の空をひとりで抱える。わたしはいつまでも風でいられないから・・・。