<954>「軽さに交代する」

 緑の鞘、

 緑の鞘、

 ふいに巻きつき、、

 あたしかしらん

 あたしかしらん

 その冴えわたる、

 見事な溶解、

 溶解、溶解、、

 あなたがたは死ではない、

 ならばなぜ、

 ならばどのように、

 外は風、

 ものは無判断、、

 わたしは一言も発しない、

 おそらく固まる、

 そら来た、

 そら来た!

 このヒのおおい、

 全て記憶違い、

 全て配置違い、

 ぶら下がり揺れる、

 そのまま鞘の裏側、、

 わたしは目じるし、

 鞘の裏側に液体の這う、

 液体は這う、

 舐める、、舐める、、

 這うた記憶が、

 今は羽、今は羽、

 心底から軽くなる、

 重さの記憶を抜いてゆく、、

 葉はひそかに暮れる、

 葉は静かに垂れる、、

 緑の鞘はまどろむ、

 かつてない這い方のために、

 (わたしは浮いていた・・・)

 かつてわたしはそこの下(シタ)、

 撫ぜるように過ぎていた、、

 いわば一ミリの土だった、

 一ミリの土はいわば空を舞っていた、

 むろん、気まぐれな風のためなどでなく、

 なにやら溶解、

 なにやら鞘を這って、

 なにやらその絶え間ない重さをすり抜ける姿、、

 やがてヒが透かす、

 そこで縦横(じゅうおう)に文字の走る、

 訳(わけ)のなく、掴み、

 くしゃ、、くしゃ、、、

 いつから葉になっていたのかもわからない、

 小さく粒が跳ね、

 これという音(おと)もない、、