<956>「あなたは涙になっていた、その時間の分だけ笑っていた」

 本意気でさらってくれ、

 過去どこまでも立ち姿は綺麗なのだから、、

 喉に蓄え、どこをも空気のゆく、、、

 静かなあなたが、逃げも隠れもせず、、ただに耳を寄せている、、

 あなたはあらゆる角度から見て新しかった、

 わたしは、わたしの空(カラ)の箱のなかを覗く、すると、次から次へ、あなたに是非とも触れてもらわねばならぬことが出(い)で来ていた、、

 ここの時間だけを、ただそこの手の上に乗せていたい、

 あなたは涼しいから、わたしの声もよく通るだろう、、

 思えば静かで、思えば葉は活気に満ちているところ、ふたつの騒ぎに出合う、

 あんまりおかしいことなので、あなたは笑っていた、また、、

 あんまりおかしいことなので、あなたは涙になっていた、

 ひとつの優しさが、街のなかに暮れてゆく、、

 街はあなたを溜めなかった、

 たれの意識にものぼらせず、さらさらと流れ、気のついたときにはただのカラだった、

 わたしが空(カラ)の箱を覗く、すると、あなたに話をしたことが、ひどく分からなくなっていた、

 輝きがふいに、重くなったり軽くなったり、今となってはただおとなしい・・・、

 あなたは溜め息をつかなかった、その時間の分だけ笑っていた、