<958>「朝に触る日」

 暗くなる、、

 こっそりと、

 さわりさわり、

 と、

 この時間、

 覚えずわたしだけが目になってしまった、

 覚えずわたしだけが朝になってしまった、

 色(イロ)のない朝に、一言(いちごん)の困惑とただよう、

 ひとは寝る、

 寝ているさまはおかしい、

 寝ている姿を、あたしだけが見ていてはいけない、、

 鳥が、おぼろ、

 おぼろに色(イロ)を確かめると、

 とやかくも伝う、、

 おのの響きがなにであるか、、

 それはよい、

 それはわたしが知らなくともよい、

 ものは見違える、

 はたらき、、

 ふくよかな日差し、

 まんじりとする、、

 ところで溶け出したものの、

 静かさに溢れている、、

 ひとは静かな手のひらを差し出している、、

 わたしはその手のひらのなかに、数限りないもんじを読む、

 読み得(え)る、、

 疑いははさまない、

 たれか挟まれていれば、それをまた昼夜にかける、、

 すると、、

 新たに浮かびあがる、

 それが何か、

 なになのか、

 わたしが知らなくともよい、

 知っていてもよい、、

 とかく記憶はわたしを触りたがる、

 いや、

 触っているのはわたしかもしれない、、

 声が、、丸みを帯びていく、

 うすくすなおに、

 ただのからだにかかっている、

 ひとがただに現れる、

 と、

 すみやかな風が日々を招ぶ、

 招ばわれた風の、匂いが巡る、、