<980>「反響はさわぐ」

 ふうあい、、

 夜(よ)と夜(よ)とを優しくうち‐い‐かかえたあなたの姿に、

 ひとつの嘆きでは足りない、、

 ひとつの感嘆でもいまだ・・・、

 まだうち‐い‐とどかないざらついたひとふきに、あなたは素肌で通過し物事を結わえてはゆく、、

 あるはずのない息吹に身(ミ)をひたとすえて、

 あてにせず待っている、、

 きんいろの看板

 めまえを染(そ)み、ひきりなしにはためく、、

 そのそばをひとりで、まるで涼しい音(おと)で過ぎてゆく、

 いまやたれも看板を見ていない、、

 ぞうさなくその、金糸(きんし)をほどいてゆき、、

 ふるわれ

 わたし全体の音(おと)が明るみにいでる、

 ないしょうのこと、ないしょう書き、そこで栄え、そこで華やかになり、、

 ひとつの声のリズム、、

 ひとつのうち微笑ましい転倒、

 やがて、がらがらになったこと、

 騒ぎは反響をかぞえ、反響は騒ぎをかぞえる、

 そこに‐い‐あらためて棲んでいる、、

 静かな色にほどこして、

 めまえのくらみ、

 たちぎえたち去ったあと、、

 わけもなくただ澄み、かすれて、いなくなる、、