<987>「私はひとつの温度のなかで」

 やわらかい声

 やわらかい場所、、

 やわらかい響きのなかに、わたしがひとりくるまれている、、

 膨大な嬉しさとともにわたしはひとりでした、

 道をゆきます

 すると、あらはれる、、

 あなたはあちこちからあらはれる

 あちこちにひとりのわたし

 たかが小さい声音がその胸を過ぎ、ふるえ、

 特別に透き通ったやらかい顔を見せてくれます

 あなた一流の温度でもって、わたしは今日の陽(ヒ)のやわらかさを静かに受けとめています

 疑いもなく素晴らしいということを、

 そんなことはないはずだという思いとともに

 ともにそのままひきずっていってください、

 ・・・

 急にどうしようもなくひとりです

 全ての景色はたったひとりで見てくださいと言わんばかりに。

 わたくしが目一杯愚かしく画面に移ろうとする、

 と、

 拍子抜けするほど、素直な、すっきりしたひとが立っていることがあります。

 わたくしはたれかの温度のなかでややふるえています、

 それはなにのためにでしょう、

 なんて複雑な、なんて簡単な、ひとつのいろ

 ひとつひとつ取り戻そうと焦らなくても。そんなことはない。順調に染(そ)みしています。