<1025>

 きはっつぁん、キハチさん、むむ、エノモトの、、

 ・・・

 ・・・、、明鏡(にィ)止水、、

 触れ‐ウ‐そばから、静かに離れてゆく、

 はあ、、

 鋭いひとつの線、(ライナー)(ライナー・ライナー)

 丹田の持つ熱、、

 あァ、きはっつぁん、

 そこで静かに立ち、強烈な打球を走らせること、ただそれだけを願った榎本喜八さんが好きだ

 遊という言葉に馴染まない(わたしは遊が好きだが)、その喜八さんの厳しい緊張が好きだ

 さて、、

 きっとそのときわたしは後楽園球場にいて、榎本喜八さんのことだけを身体(からだ)、もうただの身体(からだ)で追っていたのだ

 

           (かあさんが持たしてくれた握り飯、ほおばり‐

            (‐そくねてしまった・・・

 しかし・・・

      (バットを持っていない バットを持っていない

         (どうするのだろう・・・

 そのままの姿勢で、野球をひと睨みして、のち、ただなんということなく口の端(ハ)、笑みを見せた

 ボールはあくまでも静かに、柔順に、もうただの身体(からだ)の喜八さんのなかへ、すいいと入る

 あァ、、そうか、、

 うん、そうして、、涙が流れた このひと、喜八さんがひたすらに臍下丹田であったことを想い、涙が流れた

 歓声、ご無用! 守備位置、ご無用! ただのライトフェンスを思えよ、ひとり涙したるわたくし!

 その一陣の風、ライナーという乾いたもの

 この熱はただの回転数であると言わんばかりの、涼しげな佇まい

 わたくしと、喜八さんで、野球の外にいたい または、後楽園球場を静かに笑んでいたい

 くらやみのなかにすっくと立つ無限の喜八さん(、、夢幻能、)

 わたしは榎本喜八さんが好きだ