<1141>「小麦色の夢」

 この小麦色にきらめく時間、、

 この小麦色にきらめく時間が、長い長い夢となりますように、

 長い長い、静かな笑みとなりますよう、、

 あたしはあたらしい陽をここに照らしてもらいました。

 数限りのない流れのなかでささやいて、

 ひとりで見て、

 歓喜の底にいましょうか、

 あたしはこの小麦色の時間をいつまでも憶えていたいのです。

 あたらしく、かぐわしく、、

 涙の底、凍った朝を通って、、

 あの先へ、いつまでもいつまでものび、

 巧みに憂いを含んだあの先へ、、

 あなたのあの言葉でもって、

 またひとつの回転に同じようにして戻るのです。

 時折浮かべたことのない笑みを浮かべつつ、

 あたしはあの道も、あの道も歩くのです。

 どんなにか悲しい、

 どんなにか涼しい、、

 どんなにか整然とある朝でしょう。

 空気の揺れる朝でしょう。

 全体、あなたの言葉の漂う朝でしょうか。

 その空は異なった場所で、異なった香りを放ち、、

 かぐわしく迎えましょうか、、

 あなたの後に続く音に、、

 言葉の挟まれる勢いのままに、

 軽やかに浮かみ、、

 かつての景色の先の先へ、、

 小麦色の夢を振り放ちましょうか・・・。

 全体わたしはこのすずやかな都市に、

 朝な夕な、身体ごと染(シ)みてき、

 色とりどりの夢を見て、

 過去の華やかな香りを静かに見留めて歩くのです。

 歩くことはしあわせです。

 歩くことはさびしさです。

 歩くことのなかに、小麦色の優雅な夢を見て、

 小麦色の優雅な眠りを知り、、

 ある懐かしいリズムへと帰るのです。

 呼吸を加え、またどんなき色、香りを混ぜ、、

 人々のなかへ静かに染(し)みていくのです。

 あたらしくまた小麦色の景色がここに重なるのです。

 ここで最後だとはまるで気がつかないそぶりで、

 最後の響きが空気を伝ってゆくのも構わず、、

 いつまでも踊り続け、

 華やぎ、、

 またあなたと共にありましょう、、

 長い長い夢の傍らに、

 静かに腰かけるいつもの椅子の傍らに・・・。

 その日の朝、

 わたしは何かとバタバタしていて、

 小麦色の優雅な夢がふわりと浮かび上がったことに気がつかないかもしれません。

 それでもその静かな夢で、

 わたしは自分でも分からないままに笑みを浮かべ、

 あの見知った道を歩いてゆくことだろうと思います。