<1142>「太陽(同時代人の)は長い」

 この装いの もひとつ軽く、、

 彼方から流れてくる匂いの、

 もひとつ軽く、、

 空気に進んで、

 人を見て、夢を見て、、

 時折現実が嘘の装いをしても、

 軽々と歓喜の底へ舞い戻るように。

 気温は長く、感想は短い。

 明らかな根と声で、

 明らかな振舞いと目で、、

 直線距離を朗らかに伝うる。

 あなたは長い。

 あなたのその快活はこの先へも続く。

 一時発した声のつやかさ、

 ひとり静かに潜っていたときをつづめる嬉しさ、

 太陽は長い。

 欠片を嬉々としてひらう仕草、

 細やかさ、

 あっけない道。

 行き交う車、車に次ぐ車の音(ね)は現実を起こさせる。

 緑の装い。

 太陽のかわいた匂いにつられ、あの湾曲した記憶につられ、

 つらりつらりとあの道をゆくとき、

 だれとも知らず短い声を発している。

 歓声、歓喜、寂、、車、、。

 何ものよりも近く、過去よりも遠い人へ。

 歩行のひとつひとつに新たな装いを混ぜ、なんのきなしに、静かな声をかける。

 まるで異なった太陽。

 まるで異なった振舞い。

 優しい角度。

 ものみだれとぶ混乱のさなかにそのボロ布の上からひとり差すあなたを、、

 歩行の先駆者を、、

 燃え上がる眠りを、、

 一時この乱れた時間に適当に路傍を眺めやるわたしは、あなたの明かりの姿を見る。

 それも過去でなく、現在でもなく、

 燃え上がる明かりを、、

 車が過ぐ、、

 過去までは待っていられない、と、一言残して。

 あなたの力強さ。

 欠けてよし流れてよし、

 ひらう、ひらう、、続々、ざく、ざくと、

 このすずやかな場所の、数限りない巡りを堪能するわたしは、既に、欠片という欠片をひらう準備を済ませている。

 ですからあなたは軽々とここを舞い上がり、考えようのない時間が経った後でまたここに着地するもよい。

 お互いの角度を知らせて、、

 その華やかな香り、道ばた、、

 長い、長い、

 同時代人の太陽を香らせて・・・。