<1204>「新しい声にかかる」

 私にはそれは同じことになるところまでゆきたいのです。

 どうしたって激しく動きがあった日時と、

 全くなんにも音がしなかったというような日時を、

 全くおんなじものと考えていたいんです。

 そうして、良いという考えを払い、

 悪いという考えを払い、

 ただ変化を受けたところに戻って、、

 当たり前の表情で立って待っていたいと思うのでした。

 

 何の作用か、

 どこか一個処へ、激しく集まって、そうして力の強いものを、

 徐々に徐々にほどいていくのだと思いませんか、

 そう思うと、風が一層クリアになりました。

 しかし、私がどこかへ崩れていくところを誰が見ていたらいいのでしょうか、

 時々、何の煩わしさもなく ひとりで歩いているときなどに、そうしてぼうっとしていることがありました。

 

 いつまでも大丈夫でないことは悪いことでもないでしょうが、

 決していいことでもないでしょうね、、

 あなたが余計な事とそこで一声発するとき一体何を払おうとしていますか、、

 出来るだけ、一番後ろから行って、ひらってゆきたいと思います。

 じっと視、どこへも行かず、

 その敏捷さを存分にくゆらせながら、

 私の取るべき態度を見守っている小さな、

 そしていついつまでの身体であるかが分かる人、

 そういう人は今、瞬間をはっきりととりかえてどこかへ行ってしまいましたが、

 私はこの道幅が新しくなったのでなく、

 過去へ当たり前に戻ったのだと思いました。

 陽が隠れもしないのに、

 僅かにどこかが翳ったような感覚を持ちました。

  (少しここを駆けてみましょうか)

 地上の一区画が全面的に歓び、

 数多の動揺で迎えること、

 私は裸足になっていました、

 また、黙って見つめるものたちがあるのですから、

 お前たちはこうして気まぐれに駆けて、息の上がって嬉しいなんということがあるのかい、

 と、

 特別疑問にも感じずに投げかけていたのです。

 そうして、どこでも時間なんぞ変わらなかっただろうに、

 当たり前に暮れてゆきますから、

 私も徐々に名前が隠れる方向へ移っていったのです。

 さあ新しい声にかかろうではないか、

 さあここに弾むものを探ろうではないか、

 私があんまり一点を見つめていますから、

 そのときだけはあちらでも、何だろうな、と不思議に思ったかもしれません。

 しかし不思議に思ったとして、その感情がたった今新しく経験されたものだとしたら、

 何だか分からずに戸惑ったあと忘れてしまうかもしれません。

 当たり前に空間に染(し)み通っているひとりでした。

 一見関連のないような日のことが気にかかり出しました・・・。