<1257>「疑義の葉が落ち」

 その火は自らに疑義を差し挟みながらねらねらと燃え続くようだった、

 どうして燃焼し切ってしまわないか、

 燃焼のなかにその欲望はある、、

 その欲望は内側で叫ぶようにして歌っている、、

 それなのに何故か全ての物事よりもゆっくりとしていた、

 空気の一枚々々を丁寧に舐め取っている、

 どうして今日が燃焼なら、今日のうちに全て燃えてしまわないのだろう、

 時間がさらに遅くなるようだ、

 私は瞳のなかをせわしく動いていた、

 ねらねらと緩慢に燃え出だすもののまえでじねんに黙していた、

 

 うたがいがまた色をずらし、

 濃淡を作りながら、、

 また自己を投下して、

 微かに汗を流す、、

 火は戸惑いの音を立てるほどにひらかれていた、

 隙間が出来る、

 あたしは煙の盲目的なひろがりのなかにぼうとする意識を置いて立っている、

 揺れている、 見えなくなってくる、

 減速だ、

 時間はここに置いておかれた、、

 ただ音を立てていた、ただ本当に音を立てていた、

 

 いつから静かになったのかはちっとも分からなかった、

 ただ、どこからともなく現れ、ただ、どこへともなく消えたのだが、

 わたしはいまだに匂いを嗅いでいた、

 とつぜん現れる激しい渇望がすぐさま煙になって疑いを挟むこと、

 それを確認している目をわたしが向うにも見留めたこと、

 長い時間を掛けていたこと、

 小さな葉が揺れる、

 ただ乾いて、 時日の中に落ちて、

 

 あなたはそうしてふいにこすり合わされるもっとずっと前から、、

 先鋭化を底の底で歌い続けて来たのだ、、

 しかし、色が鮮やかに過ぎた、

 こんなものは、あらわれだすやいなや疑義に化けてしまわなければ嘘だろうと思う、

 奇妙なぐらいに緩慢な時間だったろう、、

 連なって立っている人々も同じ歌をそこに見たはずだ、

 黙って歌っていたろうと思う、

 今日一切燃えてしまわなければ嘘だという色の点き方に、疑義を差し挟まなければ私はいつに向けて歌っていたらいい、

 あまりにも緩慢な歩みのなかにいて身体動作のひとつひとつがねらねらとしてくるのでなければ、、

 かわいた葉が妙な形で混入してくるのでなければ、

 それでも、小さな小さなうたいは一番綺麗なものかもしれないし、

 一番綺麗であるということは嬉しくないことかもしれない、