<1273>「名前が垂れかかる」

 もう本当にそこにいそうだ、

 もう、ただ、、

 そんな気がした、

 いるというのはどういうことだろう、、

 名前が垂れかかる、、

 それは、 全身を撫でて、、

 わたしにはあんまり量が多い、、

 これは、垂れる、

 

 垂れ続ける運動のなかにいて、見る、、

 見る、

 僅かひとつの名前を、、

 その姿がだんだんクリアーに、、

 お互いが、クリアーに、、

 そうしてそっと挨拶を、、

 わたしはわたしで何か分からないまま、

 あなたは少しだけ分かっていて、

 

 それで、小さな香りがする、、

 私が過ぎてきた季節の、、

 優しい堆積、

 優しい姿、、

 離れない匂いに、そっと日参する、

 日参の、、その空気の切り方、

 沈黙した人々の歩行がひらける、、

 この香りのなかへ上手くまぶされてゆくこと、

 

 遠いリズムを、、

 わたしにはいくらか遠い、、

 それでも見事に跳ねかかる、、

 総体のなかを回転、

 どこまで見えているのだろう、、

 

 私が、仕えて、

 小さな鐘だけをききながら、そっとそこにいた、、

 日参、

 日参の顔に似てきたと、あなたはそう言っていた、

 日参だから、、

 

 あんまり淡いともなんとも言えないで、、

 同じ道を、、

 同じ道をまた歩くこと、

 同じ道をまた歩くことの、、

 ころんで伏せたままになっている身体、、

 それはそれとなくひらわれ、、

 場に居る、

 居た、

 あなたはこんなところに居たんだね、

 それはあんまり地味なもので、、

 見ていても、何か分からない、

 何かを、じっと見ている、、

 どこからか時日がこのために作られてきて、、

 私の、たった一点の集中に、

 見事に沿っていく、、

 空気の嬉しい切れ方、、

 歓ぶ音がして、

 歩くのについてきている・・・