<1289>「日の中に入る」

 あたしは日の下にいると、

 からだが上首尾になってきて、、

 いつも、見ているもの、

 日の中にからだが参入する、

 それを、

 冗漫に歌い上げる、

 冗漫に歌い上げるという身振り、、

 良い、良かった、、

 こんなふうに歌ってくれて、、

 あたし自身が ずっと長い呼気のなかの停止に上手く映ったような、

 なんという隙間だろう、、

 わたし自身、もっともっと隙間として、

 平たく、 日の中へひとおもいに染み出してしまうのだけれど、

 どこからか目覚めてきて、

 ここに、本当に小さく手を置いていてそれが染み出すのを揺るぎのない身振りで待っているのだけど、

 

 本当に、あたしは日の下に身体を持つ、

 これが必ず冗漫、いごき、

 どこか平然としたおもいの、、

 ゆくえを見ているとも言えぬ、

 隠れていたものがはげしく音を出すに違いない、

 

 ちょうど、呆然として、

 それも短い時刻のことではあったのだが、

 身体のなかの日の下の記憶がおもいおもいにゆきまわっているころに、

 わたしが窓をアけて立っていること、、

 小さな渦が何とは知らずただ始まっている、

 渦中の小さな身振り、、

 わたしは肌を持っているからそれに触れてしまった、、

 渦があった、

 

 さっきぱっと裂けてしまったようなことでも今また見える、

 どこかで貼り合わせたのでもない、

 わたしは方向を持つとはおもっていない、

 ただなんだか盛り上がってくるものとしてただ次の瞬間にはぽたぽたと垂れているだけのようだ、、

 流れた形跡だけが、

 いや形跡ばかりで作られていて、

 ひとり見事な線だと、

 なにを、せつないこの線は複雑に彫り込まれているぞ、と、

 また、それが面、それに当たりながら一遍声は漏れる、

 

 声が漏れるところ、、

 を、

 どちらにせよ立ってきいているのを、、

 それを、

 しらないものなので、僅か、それも、戸惑って、、

 ああそれはもうある日々の先端に引っかかりべりべりとめくれていくさま、

 それを見ている日のなか、

 形跡に正面から日が照る、

 誰ぞ、何ぞのえいぞうが、そこにひらくのだろうか・・・