<1444>「私は水を掴んでいた」

 はだかの騒ぎのなかにあって、、

 長々と、人を見つめている、

 重たい、

 まだ当たり前にこちらへかけて来るものがあって、、

 それを、、

 どう挟んでいたらいいのか、、

 

 私は単純に水を掴んでいた、

 水は含まれて、、

 常時動いている、、

 動く、、そんなに、

 身体の外にある水に、手を潜らせているだけなのに、

 掴んでいる、そんなに、、

 これというきっかけもないまま、

 漏れて、

 こちらへどうと流れ出して来たらしい、

 私は、単純に黙っているしかなかった、、

 その、生きているという仕方に、

 黙って立っているしかなかった、、

 

 そうして、

 なにが、どこへも、居ないみたいな、、

 そんな表情をしていることが、

 どこからか、すぐそばに、

 真っすぐに伝っていって、、

 私はどうと、どうと声をあげたけれど、、

 そうして、それは、

 一度も響かなかったように過ぎて、

 過ぎたあと、やはり、

 私は単純に、黙って立っていた、、

 見えるところへ、身体を置いて、、

 なおも、ただ、

 ほうほうと短く話しながら、

 そこへ、だんと立っていた、、

 

 あたしはそのなかへは‐はいらないわけなのね、

 さあ、さあ、さあ、

 あたしはそのなかへはいらないだろうと言うの、、

 いっとき、風から、

 いっとき、渡りまで、、

 誰も知らないようで、、

 目のなかには数えるほどのものも入らない、、

 誰かが、そのなかを、、

 大層不思議そうに覗き込んで、

 もう、もう、

 

 もう彼は別のことを考えている、、

 ただ単に水の流れに沿い、

 別のことの上で回りながら、、

 黙して、 ずっと遠くへ、、

 回転の、軋る音だけから、

 あそこらへんで、

 何事も容れない熱が、、

 ただ呼吸を弾ませている、、

 囲う日から、初めに、

 視線その他を外しかけて、、