<1666>「小さい」

 あ、なにだか、ひとつの枝箒が、振れる、、

 かつ、かつと、ゆく、そのなか、

 空中に、音が放られてくる、そのなかで、、

 私は、生まれる前の時間を過ごしました、

 たくみに揺れる、方形の、なかで、、

 私の、基調音が、そこで、生まれていました、

 それに、振動する、それに、振動する、、

 

 あ、なにだか、、膨らんで、、

 まだ種なのに、もう、、油、油ばかりだ、これ、、

 どう回したってこれは油だらけだよ、、

 私は、動いていて、滑らかになりました、、

 私は、そこから膨れて、滑らかになりましたよ、

 

 あ、存在の方向から、、

 声が、声が、、あ、いやなおと、、

 不気味だな、私には声がある、

 それで、どうしても、きいてしまう、、

 きいてしまうところがあり、仰天しました、、

 私は旅路であり、、

 ざわざわと、増えていくそれらの、声のなかに、、

 小さな反響が、、

 どれだけを目にして、どれだけを、紋の形へ、する?

 と、静かにきいている姿が、ここへ映ります、、

 どのようにしましょう?

 小さな、その誕生を、どのように?

 私は、そこで振動しているうち、、私の歩幅が、定まってゆくのを見ました、、

 なにだ、なにだ、、? この人は生まれている!

 そうです、その、揺るぎのなかにこの人は、生まれていました、、

 いくらか、新しい形、

 でも、よく見留められている形なので、安心しました、、

 それでこそ、枝箒のなかに、

 姿、形はおさまっていくというものです、、

 

 あ、なんだろうな、、どうもそのまっかななかに、、

 声というものは、まっかななかに、あるものですね、

 それで、それだけまっかなのに、うたうというのは、どういうことだろう、、

 うたいをせんとからまわりせずとも、すらりと出やるのは、どういった訳だと思いますか?

 枝箒の手を止めて、じっと考えてしまいましたよ、

 

 そこは、いくつもの道が通り、、

 私には、なにだか、、

 どうにも材料の豊富さと、、

 どうしたらいいものかねえこれらはさ、途方にくれるというものじゃないかい? という気分がある、、

 ごつい、燃料じゃないけどさ、、

 たばたば、たばたば、、ふちやそこに当たるのだよ、

 それを、いくつも見る、静かに見ているのだと思うよ、、

 ふいにかかるきざし、、

 ふいにまといかかるものざまのきざしを、、

 ふい、と、静かに掴む手の、

 自然に、、

 私は、私で、長いこと見ているようだよ、、