<1690>「知らない車が通って」

 おそろしい、

 と、内側に回転する、

 複数のもののまなざしを、見ていた、、

 それは遠くからかかり、、

 今に放られたまま、

 かたん、ことんと、よく転げ、よく響き、、

 そこへ、近付いて来る、、

 

 私がそこに生きているのであれば、

 非常なさまをそこに集めて、、

 おそろしいと思いながら、揺れている、、

 あたしはそちらへ通る、

 訳の分からない長さ、、

 瞬間、瞬間に刻まれていて、、

 なにを通じて来るものなのか、

 よく分からないが、、

 はっきり見えたその内から、、

 私はずらずらとそこに、一連の拍子を並べてみる、、

 なに、いとの、隙間から、、

 繰り、、

 そこへ長いこと垂れて、、

 そこへ緩やかに繋ぐ、、

 飾り立てた車が、音もなく通り、、

 時間の内側へ貼り付く、

 あ、なんだなんだ、、

 なにのためにとおったのだ、、

 と、誘うものの姿も、

 ひとつでは、分からない、、

 ひとりでは、さほどのことは分からない、、

 細かい粒が光り、空気のなかを行く、

 私はどこを歩いているのか、、

 くたびれた男、

 しかし、何にくたびれているのかは、容易には知られない、、

 当人にだって、それは、

 私は声をほうと外へ出す、、

 いつかの不明な地点へ、、

 なにやら、踊るやうに、

 踊りの稽古をつけてもらって、今でもそれを少しおぼえている、

 ほら、ほら、、

 重さが徐々にはらわれてゆくのを感じ、、

 私の愉快にも速さが出てきた、、

 

 おばあさんの手、というものも、、

 今ではよくおぼえていないが、

 そこへ、重たい場所へひかれていくには、その手がどうしてどうして必要だった、、

 私は奇跡に見えていたのだろうか、、

 奇跡に見えている頃の、内的な回転はと言えば、

 思い出せないことがほとんどである、、

 ただ、ひとつの身で持っていた、はっきりとした線が、

 ぼうぼうぼやけて、

 存在がどこまでも不思議に感ずる、

 ひとりの時間の経過の仕方を、

 そのときにも持っていたに違いない、と思われるようなところがある、、

 からから、からから、と、空間の中に、私は招ばれて、、