<1745>「アという響きで」

 眠りから覚めて、私は、ア(あ)、という声でふるえた、、

 振動して、振動して、、

 まずは吐いて、

 輪っかから吐いて、生まれていたのです、

 その一音声のなかにあれやこれ、が全てあったとは言えない、、

 回転したら、

 回転した、その速度の分だけ、まったく違う人になりました、

 違う人の呼吸も、静かにきこえていました、、

 

 あたしは、まったく暗い、、

 触わるものばかりがある世界で、、

 ア(あ)、(あ)という響きがあり、

 身体に当たりますと、、

 そこから、交通のことを考え出していました、、

 交通のことを考えていて、肌がまったくそのあたりから、

 水を含み、

 盛り上がってくるのを一心に眺める、視線、というべきものの、存在が動き始めたのでした、、

 

 私は泡立つ、、

 静かなところで泡が立ち泡だらけになり、、

 流れて流れて、

 その隙間に生くものはなにか、と問うことはしないままに、

 尋常な速さを誇ってゆきました、、

 あたらあたら、、

 私は次々にこぼれて、、

 そのどれもにオンジョウが、、

 輪っかの響きが重なってゆくのだとしきりに感じていたところです、

 そこに来るいくつもの手合い、

 枯れてはてに残った細かい印を、

 ひろってはまたまぶして小さな庭にかえしていました、、

 

 なにやら、私はその出来事の、、

 中心にあった沈黙に、、

 ア、ア、というリズムもなにもなくなって、

 時間もなくなって、

 付き合っていたものですから、、

 そこから先の響きはとても分からなくなる、、

 あたしが生身の肌で触れているのは、

 何かが砕けたものの集まりに過ぎないのだろうけれども、、

 自然に黙す、、

 それから、ア、のオンジョウが非常に前に、

 ここにかむさったのだということが、

 少しずつ伝わってくるのでした、、

 

 眠りから覚めて、人は、ア、という振動を頼りに、

 身体を持ち上げるのでした。

 また新しい波を打つ、

 また新しい身体を掛けていく、、

 どこに放られたものか、、

 仕事から、当たり前に流れて、、

 静かな表情で、ここに定着しているのでした・・・