<1746>「彼は現在地を踏む」

 あたしはそうして、騒々しい音の只中へ降りてきていたのだった、

 それが同じ姿で、

 また垂れ出してくる、、

 まだいくついくつと数えるにはあたらないリズムやら、なにやらが、

 はっきりとここのなかへ垂れ出してくる、、

 私はそこへ垂れ出しながら、、

 はっきりとした顔、

 はっきりとした声を、確かにきいた、、

 

 あ、私がただばらばらにほどけて、

 ばらばらに結び合わされていくだけ、、

 その方向をひそかに知り、

 身体を預けているだけで、、

 こんなにもはっきりと生まれてしまうならば、

 始終驚いているより仕方なかろうと、、

 ゆっくり言葉を出して、

 私は始終生まれているのだろうと、、

 そう言いながら回転した、、

 

 あきらかに晴れ、

 あきらかに潜り、、

 私の生きている時刻へ、

 まっすぐに、繋がってみせてくれ、と、

 緩やかに響きを、、

 こちらへ傾けて、、

 走る、はしる、、

 私はどこからか息が切れるのを忘れていて、

 それを忘れているな、と思い出したとき、

 徐々に息がきれ始めて、疲れた、、

 疲れても、また知らず知らず駆け足のなかで生きている、、

 

 彼はどこまでゆくのかを考えているのではないので、

 現在地を軽やかに踏むことを考えて、

 ちょっと無、らしいところへ入りながら、

 歩む、歩むので、、

 どこか遠いところへ到達した、、

 あ、自身の、肌が混じるのは初めてだ、、

 私が幾度ここを経過しようと、

 風景は減らないのに、、

 あ、風景が減らないと思うのは間違いで、、

 徐々に違うものになろうとしているのだろうか、、

 私はもう少し水を含む必要があった、

 誰だろうか、遠くできこえる、、

 おそらくは歓声の、

 さわざわと弾けて、流れて、、

 

 彼は現在地を踏むだけ、、

 そこで根から次々に温度を受けると、、

 生きている、生きている、、

 私は流れる風とそれに流されてなにともない場所で、

 息が上がり、、

 ちょっと微笑んで、歩いて、、

 呼吸で通過した、水も多くなった・・・