<1780>「あたしには身体などないので」

 その陽に浮かされ、

 どこかへ、あっけなく出てきてしまった、、

 見ると、どの線も、

 どのまとまりも、遠い、、

 私は情感がどこまでも静かになるように努めました、

 私はどこまでも視、

 ただぼやけて、回転するのをひとりのしぐさで聞いていました、、

 

 あたしの陽のなかに、

 長い時間入って、

 もう前後も、なにも、分からなくなってきたの、

 私は、炭になり、、

 練り、黒くかたまり、、

 一液ずつになって、この場所に垂れるの、

 それを聞いて、、

 私は遠くなりはしないかしら、、

 いいや、いいや必ず、あなたは遠くなる、

 遠くなって見せるだろう、

 どんな響きもここに、当たり前にきいてみせれば良いだろう、

 そうだろう、、

 と、あなたは言う、、

 

 あたしには身体などないので、

 今ここで作っている、、

 今ここで、大層な熱で、、

 それはどこかも忘れる、、

 私は走り出す方向さえ、この沸騰のために忘れる、

 劫に、肌をつけた、、

 私の身体にただ幾筋かの墨が引かれた、

 

 暗い、暗い、、

 私は、まだ照明されるまえのところで、、

 幾筋もの流れが、、

 当たり前に箇所々々を通るのを感じ取り、、

 驚いて飛び跳ねることさえ出来なかった、

 、事態に、

 私は表現すべきものの多くを内に留めた、、

 諸方で、

 にぎやかな音やらなにかの踊り、

 それが華やぐなかで、

 ひとりその音声は内にこもる、

 あ、あのオンジョウは、

 すっと内にはいった、、

 

 私は、身体を垂らしてきたあたりを、、

 順に順に、探ってみたい、

 ほとんどまだ暗く、

 墨で一字、二字と引かれたばかりのところで、

 回転した私という、、

 まだ沸き出てまもないものへ、、

 劫を経て、肌を付けたいと思うことが、

 確実に、ある、、

 あたしはそこいらをふらつき、、

 いきおいの良い風にまた垂らされる身体を持って、

 静かにうたわれた響きのまんまなかへ、はいっていく・・・、