<1830>「花と人」

 あたしはそこにある響きを知らない、、

 さらにさらに紛れ、

 ものがよく通るなかへ生まれた、、

 あたりまえにある暗い、

 真黒な道へ、

 静かに身体がのびてきた、、

 そこに白い花が、

 一輪咲いている、、

 私はその揺らぎのなかへ静かに混じり、、

 さあ、あなたも粒に成れ、、

 さあ、あなたも、今この装いのなかに混じって、

 小さな粒になり、、

 種の記憶まで結わいて行け、、

 と、

 

 その人は承知したのか、、

 頭上遥か高くで、ようよう白くなり、、

 私の種を静かに手に巻いていた、、

 静止する、、

 風はない、、

 男は中腰で、、

 道の心臓の、とん、とん、

 と、打つ音に合わせ、、

 片足で、拍子を取った、、

 、この道に、人は絶えたのか、、

 私には最初から、あなただけがいるのか、

 、花

 、揺らぐ香り、、

 、長く生きた、

 よ、は、よ、は・・・

 静止する、

 風はない、、

 男は息を吸い、、

 私は以前の姿よりもまた白くなった、、

 なにぞなにぞ、これだけ生命の乱れて、

 踊る、踊る、

 、花の香り、、

 、路を打ちながら・・・

 

 ぼゥ、と中心を持たない頭で、

 その路地を眺めていた、、

 私には、暗い道に、、

 何もないのに、、

 白い人の、リズムを刻む姿勢だけが、、

 焼かれたようにはっきりと映り、、

 芯が、静かになって、、

 この窓居から、去るという仕草が持てない、、

 、花の香り、

 (花の香り、、?)

 これは私のなかで生まれた種の記憶なのか、

 道に結わかれたものが、、

 当たり前に咲いて、

 私のなかを巡るのか、、

 かつてあのように花であり、

 私は、踊りを招んで、、

 人の絶えた道を眺めるものとして静かに結ばれていたのか・・・