<1880>「小さな水が集まるところ」

 私がその形になるのを知る前に、

 手はなかにはいり、

 そこをうかがう、

 うかがったらなんだか当たり前の、、

 小さな空間だけがあり、

 私はひとりで驚いている、、

 なにがこの身体のなかに掛かり、

 ひとつの声になっている、、

 私は花を見るが、

 一本取って持って帰ろうとした途端、

 なんにもおもしろくなくなる、、

 あなたも私と同じ身体だ、

 それだからなにも不思議なことはない、、

 私は皮膚のなかにはいり、、

 そこで、一量で、盛り上がっている、、

 声もただ低い音を時折出すだけになる、、

 

 私は不安定な水の中に混じってゆき、

 そこで生き、そこで漂い、、

 そこからただごとではないとひとりつぶやくところまで、

 訳も分からずに来ている、、

 あたしがあたしのリズムに乗り、、

 その様子をまた身体のなかへ畳み、、

 ひどく、そこで泡を立てようとするが、

 そういう訳にもいかない、、

 静かな練り上げ、、

 静かに触れる動作、、

 像が出来、

 ほうと息をつく、、

 私はまた像を作るのだろうから、、

 手がただアいて、、

 ぶらぶらと所在なく揺れる、、

 私はその一点にまた生まれているのだよ、

 気づいたかい、、

 

 階段を、繰り返し駆け上がり、、

 息を切らし、

 何故ここに来たのか、、

 なんのために駆け上がっているのか、、

 どこまで続けるのか、

 分からなくなって、、

 ただ多く水分になった人間になるのは、

 嬉しい事だ、、

 嬉しい時間に私はいる、

 誰がこのまといを、

 時間とのあいだに、作るのに長けていたのだろ、、

 この冷たさがひそかに、

 しかし確かな響きをもって私に伝える、、

 あなたはよく走りなさい、、

 ここで私は速度計、

 メーターを眺め、灰がかる外景を眺め、

 メーターを眺め、震動する手のひらの紋様と小さな本を眺め、、

 この途中の、誰かも分からない道に、、

 あたしも少し溶けて落ちているのかどうか、、

 確かめ得る方法はないが、やや、ここの肌は、やわらかい・・・